第1回:IoTとデータフィケーション

データフィケーションとは?

データフィケーションという言葉をご存知だろうか。英語でDataficatinと書くのだが、一般用語ではない。端的に言えばデータ化ということになるが、そう単純じゃない。
 
産業革命による機械化が進み、その次に起きたのが電化である。いずれにしても、機械化と電化はハードウェアの革命であり目に見えてわかる。次に起こるのがこのデータフィケーションということだ。それはハードウェアのように目に見えるものではない。目に見えない革命なのだ。
 
簡単に書けば、データフィケーションとはあらゆるモノやコトがデータ化つまり、情報となることである
もうすでになっているように思われるが、実際はそんなことはない。例えば、自分の部屋の温度をデータとして取れるかといえば、最新のスマートハウスのサービスを利用しない限り無理だろう。今は過渡期なのだ。
 
あらゆるモノやコトがデータ化されることでそれを利用したさまざまなサービスが活性化する。家もコンピュータ化されるし、街もコンピュータ化されるのだ。
 
現実にはそんな簡単にはいかない。まずデータを取ることから始めなくてはいけない。データを取るといえばセンサーなのだが、まだセンサーが少ない。あらゆるモノにセンサーがついていないといけないのだが、ほとんどつけられていない。セキュリティの高い施設や工場などまだまだ特別なのだ。
 
孤独死という社会問題がある。何故、すぐに発見できないのか。また、動けないときに何故救援を頼めないのか。非常に苦しい状態で生活している人にそのようなサービスを提供することはまだできていない。
 
どんな家にもセンサーが張り巡らせられ、プライバシーも守られながら、居住者の状態を常に把握できるにはまだまだ時間がかかる。大きな障害はどのように居住者の状態をデータ化するかなのだ。
 
さまざまなセンサーがすでにあるのだが、まだまだ、足りない。家に1000個くらいのセンサーがあれば、いろいろとできるだろう。
 
センサーが増えれば増えるほど、世の中の状態がデータ化される。データ化されれば可視化もされるのだ。可視化することが目的ではなく、データ化することが目的なのだ。
 
 

データ化されれば可視化もされる

弊社のSensorCorpusは、インフォコーパスの「機械と情報を融合する」を実現するためのプラットフォームなのだが、その目的は世界をデータ化(データフィケーション)することなのだ。そのためには安価でわかりやすくポータビリティの高いプラットフォームとして設計されている。
 
現在、IoTはほとんど大企業でしか行われていない。それもプラットフォームと言ってもSIのような巨大なシステムで、他へのポータビリティは考慮されていない。これではIoTはただシステム受注のための営業トークとしかなっていない。
 
私もIT業界が長いが日本のIT業界の悪しき慣習として言葉を自分の都合の良い解釈をすることがまかり通っている。AIという言葉もなんだか将棋ソフトくらいしか考えない人たちも多いのではないか。
 
IoTはブームではない。それは思想であり、文明の進化なのだ。この点を踏まえないと日本のIoTはますますその本質から外れ、大衆化ができず、誰も使わないシステムとなってしまうだろう。