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第6回:IoTとインダストリー4.0の微妙な関係

IoTとインダストリー4.0を同じ意味として取られている場合が多い。
 
インダストリー4.0の方は製造業のイノベーションに用いられているが、IoTはモノのインターネットという一般用語に近い形で用いられている。いずれにしても共通しているのは新たなデータの活用でしかない。
 
「データ」という言葉自体は極めて平凡だが、21世紀になってもデータの活用が大幅に増えているとは言えないのが現状だ。例えば、自分の家の時間ごとの水量の流量変化を知りたいと思ってもそれを知る手段がない。部屋ごとの温湿度を家の外から全部把握してコントロールすることができる人が現在どれほどいるだろうか。
いずれにしても利用するデータはまだまだ少なく、個人にパソコンやスマホが行き渡ったことで安心しているが、データの活用の世界はまだ原始時代である。
 
話は変わるが、このあいだ、インドの先住民族の島に上陸した宣教師が殺害されてしまった。
今でも世界には100近くの先住民族がいると聞く。彼らは文明を拒み石器時代に近い状態で生活していると言われている。彼らには現代社会がどれほど進化しているかはわからない。想像さえつかないだろう。想像できないことは存在しないことと同義である。従って彼らには我々の社会は存在しない。
 
原住民の素朴な生き方を理解できないのは現代社会が価値観をそこから大幅に変えてきたからだ。未来から現代を見ることはできない。たとえ想像できたとしても子供が大人の考え方を知るようなものだ。いくら想像してもベースとなる考え方が違うからなのだ。
 
それと同じようにあらゆることがデータ化されていく世界を我々は想像できない。存在しないのである。存在しないことをやろうとしても原住民のように理解できないのだ。トイレの滞在時間を図っても、確かにそれ自体の意味はあまりない。それは便利かどうかということではなく、人類の生き方そのものを変えられるかということだ。それはなぜ我々は生きているのかという問いにもなるだろう。
 
 
IoTが与える社会的影響は、インターネットよりも大きくなると断言できる。
なぜならば、インターネットは人間の生活をバーチャルなネットワーク空間に移しただけだったが、IoTは人間不在になるからだ。人間不在になると我々の生活の大部分が置き換わる可能性がある。
もちろんそれでも、我々は行動するし考えるだろう。ただ、その意味は大きく変わる。働き方や収入について、自分の存在する意味まで問われるだろう。
 
インダストリー4.0とは、IoTがもたらす前哨戦の考え方なのだ。
脱工業化社会と言われながら工業は主要な産業である。モノを作り出していくことが文明の大きな役割なのだから。
しかしそこでは、モノを作りだすことだけではなく、モノの価値やモノ自体が提供する役割をも変更させることができるようになる。電話機がスマホになるように、すべてのモノが新たな役割を背負う可能性がある。
インダストリー4.0の最終目標はインダストリー全般のサービス化だと思っている。車をつくることではなく車というサービスを提供する。そこでは従来の馬力や最高速度は属性の一部でしかない。車という社会的な役割が生み出すさまざまなデータを活用する、ということである。
 
私はある言葉を提唱したい。それは『Service of Things』である。
あらゆるモノがサービス化していく時代。そのためにモノ自体が持つさまざまなデータ(属性)を活用する。これにより第二次産業は第三次産業と融合していく時代なのだ。