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第4回:IoTが普及しない理由について

最近、AIという言葉が巷で賑わっている。AIという言葉はとても幅が広いということもあり様々な誤解を生んでいる。その中でも代表的な誤解とは、AIが人間に取って代わってしまうという誤解である。
 
誰かが発言した「AIもコンセント抜ければただの箱」というようにAIが人間に完全に変わるには電源なしで動くようにならなければいけない。
人間はとても消費電力が小さい。それに比べてAIはとにかく電気が必要だ。
重要なことはAIが今のエネルギー消費社会において、どれだけ効率が良いかを考える必要があるということだ。
 
何故今までAIが普及しなかったかということについては、プロセッサーの速度が遅かったからである。Deep Learningの仕組みは以前から実証されていたが、あまりにコンピュータが非力のために大衆化できなかったのだ。
現在、プロセッサーが高性能になったおかげで機械学習がだれでもできるようになったからである。
 
スマートフォンにしても同様で、コンピュータの処理性能が高くなければあんなに小さいなデバイスでサクサク動くことはできない。それでもスマホが熱くなるといった無駄なエネルギーは発生してしまう。人間に例えれば、知恵熱のようなものが絶えず発生しているのだ。
エネルギーとプロセッサーによって解決できる問題は多い。全く新しい着想による技術革新のように感じられるが、現実には違っていて、様々な環境によって開花しているに過ぎないのだ。
 
IoTが普及しない理由も同様に考えると様々な環境が整っていない。特にデータを作り出す環境である。
そもそもデータとして存在しないモノをどうしたらデータとして取り出せるのか、という素朴な疑問がある。身の回りのモノから勝手にデータを取り出すことは現実にはありえない。センサーを使えば簡単だというが、センサーは物理量を電気信号にしているにすぎない。電気信号は電気信号でありデータではないのだ。
もう化石になってしまったレコードというモノがある。レコードから音を作り出すには様々な仕組みが必要だ。レコードを回して、レコードから針を振動させて電気信号にするレコードプレーヤー。そして、その電気信号を音に変えるアンプとスピーカーが必要である。
そのために、その頃のオーディオと呼ばれる機械を買わなければいけなかった。
 
センサーからの電気信号は勝手にデータにはならない。データにするためのプログラムが必要だ。
しかし、そのデータはノイズが載っている。センサーの種類が増えれば、データの種類も増えていく。これらをきちんと管理する、オーディオでいえばアンプのような仕組みが必要である。オーディオ全盛の時代、アンプは音をいかにきれいにノイズを除去して増幅するかを競っていた。
高価なアンプを使うことで音楽をきれいに聴くことができたのである。
 
センサーの場合、センサーごとにアンプを買うことはできない。様々なセンサーからの電気信号をデータとして変換して、「きれいな」データとして管理しなくてはいけないのだ。ここでいう「きれいな」とは単にノイズがないことではない。そのデータがどこからやってきて、どの物理量を示し、どのように加工すべきかを理解しているデータである。
今までのデータと決定的に違うのは、全てのデータに時間軸という次元をもっていることである。時間とともに変化するデータをそろえる役割ももたなくてはいけないのだ。
 
このようにデータは我々が普段使う電気のように、一定の品質と一定の処理が行わなければいけない。つまり、データも電気と同じインフラとして管理しなければいけないのだ。
残念ながらIoTに関しては、まだまだきちんとデータが管理しているとはいえない。それは現実に、身近なモノから発せられるデータが存在しないことからも同じなのだ。データを電機や水道のように扱うことは難しい。
しかし、IoTとはまさにデータそのものを電気や水道のように扱うためのインフラとして構築するべきなのだ。
 
我々インフォコーパスが目標としていることは、このような新しい種類のデータ(IoTデータ)を電気や水道のように扱えるようにすることなのである。それができなければIoTは普及しないのである。